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No.0008 2005/03/23
豚娘(とんこ)
焼きとんと若い女性スタッフで差別化する異色立ち飲み店
新鮮な国産豚を使ったやきとんなど、串ものは約20種を提供。
新鮮な国産豚を使ったやきとんなど、串ものは約20種を提供。
 ここ数年、新しいタイプの立ち飲み店が台頭しているが、中でも豚肉の串ものと若い女性スタッフのみでの運営という、明確なコンセプトで特徴を出しているのが、東京・新橋の「豚娘」である。
 オープンは04年7月7日。11坪の細長い店内は、日本でのSL発祥の地である新橋にちなみ、電車の車内を模してデザインされている。オリエント・エキスプレスならぬ「ホルモン・エキスプレス」を標榜し、4卓設けたテーブルは手前から1号車、2号車、3号車、グリーン車と呼び、グリーン車のみ、軽く腰かけられるヒップバーを設置している。2人以下の場合はカウンター利用が基本で、カウンタートップは白をベースにしたタイル張りとし、明るく、清潔感がある。
 経営元は、隣接地が総本店のやきとり店「鶏繁(とりしげ)」を主幹業態とする(株)鶏繁で、同社では鶏繁を都心で5店、豚娘、丼もの専門店「どんぶり子」(東京駅・キッチンストリート内)の計7店を経営している。本店の隣で営業していたおでん店が04年3月に撤退したので、その土地に2階建ての店舗を新築。1階を豚娘とし、2階は総本店側とつなげて「鶏繁厨房」として営業することにした。鶏肉と豚肉という素材の違いと、立ち飲みというスタイルをとることで、豚娘では総本店とは異なる利用動機を誘引している。
新鮮な国産豚を使ったオリジナル料理ときめ細かい接客が身上
 豚肉は、産地や銘柄よりも、屠殺場から直接仕入れる新鮮な国産豚にこだわるという考え方で、がつのたたき(500円)、れば刺し(500円)など刺身類の人気も高い。また、備長炭で焼く串もの約20種1本100円~(注文は2本単位)は、ほとんどが軽めの塩味としており、卓上に用意している特製しょう油、練りからし、コショウ、下関の塩、七味唐辛子、柚子コショウ、ピリ辛の自家製味噌の7種の薬味を好みでつけて食べてもらう。ドリンクでは、白と黒を揃えているホッピー(400円)の人気が高く、常連客は2杯めは焼酎だけをお替りし、1本のホッピーで2杯楽しんでいくことが多い。客単価は2000円で、ドリンクとフードの売上げ比は6対4となっている。
 男性客が8割を占めるのは、立ち飲みである点と、女性スタッフのきめ細やかな接客や会話という楽しみに因るところが大きい。その一方、女性客が1人でも安心して入れる雰囲気をもつ立ち飲み店として、稀有な存在となっている。また、平日は近隣のビジネスマンが中心だが、土曜はお台場帰りのカップルなど、ガラリと異なる客層を誘引している。
 1日平均客数は100人で、月商平均500万円と健闘している。
「豚は、皮も耳も足も食べられますし、ヘルシーで奥が深い素材だと思います。焼きとんや当店のオリジナル料理を楽しんでいただきながら、ビジネスマンやOLの方たちに明日への活力を提供したいですね。また、心地よい時間を過ごしていただけるように、サービス面もより充実させていきたいです」
 と、長谷川恵子店長は語っている。
清潔感のある明るい店内。若い女性スタッフとの会話も楽しみ。 ●店舗データ●
住所:東京都港区新橋2‐9‐17
TEL:03‐3508‐1122
店舗規模:11坪約40人(立ち飲み)
営業時間:17:00~23:30、土16:00~23:00
定休日:日曜・祝日
清潔感のある明るい店内。若い女性スタッフとの会話も楽しみ。